東日本大震災で被災し、原子炉6基すべてが廃炉となる東京電力福島第一原子力発電所の現場は今、どうなっているのか。筆者は2014年3月6日、現場に足を踏み入れ、その姿を間近に見てきた。その様子を交えながら、建設ITの視点を中心に整理してお伝えしよう。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波による停電事故で、東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)の1号機、3号機、4号機は水素爆発を起こし、また、1~3号機はメルトダウンを起こしたため、周辺地域に大きな損害を与えた。現在、1~6号機すべてが廃炉に向けてそれぞれ作業が進んでいる。1~4号機から離れた場所にあり大きな損傷はなかった5号機と6号機も、昨年12月に廃炉を決定した。今後この2基は、廃炉に関する研究開発のため、実物大の実証試験に活用していく予定だ。

 事故から3年が経過した福島第一原発の廃炉作業の現状や今後の課題などを、建設ITという切り口を中心に据えてまとめてみた。また、筆者は2014年3月6日、4号機を中心に福島第一原発を取材する機会を得た。現在の様子も併せてお伝えしよう。

東京電力福島第一原発の取材に臨む筆者。現地取材には全面マスクと防護服などが必要だ。胸ポケットには青い線量計が入っている(写真:ヤフー)
東京電力福島第一原発の取材に臨む筆者。現地取材には全面マスクと防護服などが必要だ。胸ポケットには青い線量計が入っている(写真:ヤフー)

※これまでに福島第一原発の現場に立ち入ることができたのは、原発関係者のほかは政治家や公務員、大手マスコミ関係者がほとんどだった。しかし、東京電力は様々な視点で福島第一原発の現状を伝えてほしいと、ネット媒体としては初めてヤフーに取材を持ちかけた。筆者はヤフーのニュースサイトで「家入龍太の建設イノベーション」というコラムに寄稿している。ヤフーは筆者を含めた数人の寄稿者に福島第一原発取材の希望を募った。現地までの交通費や宿泊費は自前、記事にするかどうかや記事を書く媒体も自由、そして東京電力やヤフーによる記事の事前チェックもなし、という条件だった。ただし、現場での撮影はヤフーを含めた取材チームの代表者2人に限られた。彼らはセキュリティー上、問題のある出入り口などが写るアングルを除いて自由に撮影することができた。