アセットマネジメントと維持管理の現場の連動も
ジェイ・フィールドの代表取締役である西村穣氏は、ERP(統合基幹業務システム)や、ビル管理会社用のシステム開発などの業務経験が長かった。そのため、同社には、インフラの維持管理システムを経営用のシステムと連携させる力もある。
例えば、BIMやCIMの属性情報として建物や土木構造物の現状データとともに、年度ごとに必要となる維持管理費や修繕費などの見積額も一緒に管理して、経営用のアセットマネジメントに連携させることも可能だろう。
これまでは現場最前線の維持管理のためのデータ管理と、経営資源としてのインフラを管理するためのアセットマネジメントは、次元が異なるものと扱われてきたのではないか。しかし、アセットマネジメントの根拠となる様々なデータは、現場最前線の維持管理のデータが基になっている。
これらのデータが連携したシステムがあれば、経営者はインフラの維持管理や修繕に必要な費用を構造物ごとに分かりやすく知ることができ、必要ならばBIMやCIMのモデルにもアクセスして、現場の状況も写真やデータでリアルに把握できる。維持管理に対する投資の意思決定を、財務的な数字だけでなく、現場の状況も考慮して行うことで、より現実的な判断ができるようになるのではないか。
こうした情報連携は、インフラの維持管理費が収益に大きく影響を及ぼす高速道路会社や鉄道会社の経営課題の解決のためにも今後、ますます重要になるだろう。そして、ブラックボックスになりがちな構造物や維持管理作業の現状を経営者が把握し、安全のための投資を適切に行うためにも欠かせないのではないだろうか。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。
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