画像解析で異常を発見する下水道点検ロボ
日本の下水道管路の延長は約45万kmとなる。このうち約1万kmが、下水道の耐用年数とされる50年を経過している。老朽化対策のためにも、下水道管路の調査や改修は待ったなしの状態だ。
そこで、日本下水道事業団と日本電気は、千葉県船橋市の下水道管路を対象に管路マネジメントシステムを共同で開発し、現場でのフィールドテストを行っている。その主役となる調査ロボットは全長約120cm、高さ約15cmで重さは約30kgだ。速さは毎分10mで、ゲームパッドを使って簡単に操縦できる。
これまでのロボットによる下水道管路調査は、技術者がロボットから送られてくる管内の映像をモニター画面で見ながら、異常箇所を見つけるというものだった。また、ロボットの長距離走行が難しいため、1日の調査は200~300mが一般的だった。
その点、今回の調査ロボットは、映像を画像解析することにより、不具合箇所を効率的に見つけられる。また、小型・低消費電力のCPUを採用し、ロボット内部の情報処理を省エネ化するとともに、内蔵バッテリーで長時間駆動を可能にしたことなどにより、調査できる距離は1日1000m程度まで延びたのだ。
さらに、地上と調査ロボットをつなぐケーブルの強靭(きょうじん)化も図られ、従来のケーブルより細いにもかかわらず、数百キログラムの荷重に耐えられるようになった。