データの重ね合わせでひび割れ原因も判明
MIMM-Rの特徴は、トンネル全長にわたるデータを連続して収集できること、そして複数のデータを重ね合わせて比較できることだ。そしてデータはグラフや色分けなどでわかりやすく“見える化”できる。
例えば、電磁波レーダーのデータからは、トンネル覆工のコンクリート厚や空洞の大小、そしてその分布などをグラフ化できる。トンネルの現状を知っておくことは、異常が発生したときの対策や改修計画の検討などを行ううえで重要だ。
また、3Dレーザースキャナーの計測結果は、以前の測定結果と比較することで、各部分の変位を求めるのに役立つ。変位の方向や大きさなどを色分けして面的な分布として表示できる。
トンネルの覆工コンクリートには、ひび割れが発生することがよくあるが、その原因は地盤の外力による変形なのか、乾燥収縮によるものなのかは見た目だけではなかなか分からない。後者の場合は大きな問題ではないが、前者の場合は対策を考える必要があるため、ひび割れの原因はできるだけ早急に突き止める必要がある。
こんな場合は、ひび割れの位置や形状とトンネル内壁の変位を重ね合わせて見ることで、ひび割れの原因を知ることができる。内壁の変位が大きい部分とひび割れが重なるように伸びている場合は外力が原因と考えられる。一方、変位と全く関係がないひび割れは乾燥収縮によるものと考えられる。
パシフィックコンサルタンツは、前機種のMIMMで国や地方自治体のトンネル149本、総延長約100kmを既に計測しており、NEXCO関係のトンネルを含めると約1000kmを計測した実績がある。
同社交通基盤事業本部長の徳川和彦氏は、「トンネル内壁の変位は、完成直後のトンネル内面を3D計測したデータが比較の基準になる。トンネルが完成した時は、ぜひ、MIMM-Rで計測しておくことを薦めたい」と提案している。