名古屋市のU's Factoryと札幌市の岩根研究所は、歩きながら街路や建物周辺の形状や景色を3D情報付きの全周動画で記録する「Robot Eye Walker 4D」を共同開発した。撮影した毎秒16コマの全周動画から3D情報を解析し、既存建物などのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルをスピーディーに作成できるのが特徴だ。

 1月24日、BIM関係者の注目を集めた新製品イベントが東京・有明で開催された。その新製品とは、人間が歩きながら既存建物の内部や外部、街路周辺などを3D情報付きの全周動画で記録するシステム「Robot Eye Walker 4D」である。システムは、撮影機材、画像処理用のノートパソコン、撮影記録や映像解析などのソフトウエア、レーザー測量機などで構成され、参考価格は一式で2000万円だ。

歩きながら全周をビデオ撮影し、3D情報付きの動画で記録する「Robot Eye Walker 4D」。1月24日、東京・有明で行われた新製品発表会では女性モデルがデモンストレーションを行った(写真:家入龍太)
歩きながら全周をビデオ撮影し、3D情報付きの動画で記録する「Robot Eye Walker 4D」。1月24日、東京・有明で行われた新製品発表会では女性モデルがデモンストレーションを行った(写真:家入龍太)

新製品発表会で講演するU's Factory代表取締役社長の上嶋泰史氏(左)と、岩根研究所代表取締役の岩根和郎氏(右)(写真:家入龍太)
新製品発表会で講演するU's Factory代表取締役社長の上嶋泰史氏(左)と、岩根研究所代表取締役の岩根和郎氏(右)(写真:家入龍太)

「Robot Eye Walker 4D」のシステム構成(写真:家入龍太)
「Robot Eye Walker 4D」のシステム構成(写真:家入龍太)

 既存の街並みや建物を3D計測するシステムとしては、固定式の3Dレーザースキャナーや写真測量システム、3Dレーザースキャナーをクルマに積んで走りながら街路周辺を3D計測する「MMS(モービル・マッピング・システム)」などがある。

 しかし、固定式のシステムは計測や機器の移動に時間がかかり、車載型のシステムはかなりの重量があるため人が持ち歩くのは無理だった。そのため、階段のある歩道や室内など狭い場所を連続的に計測するのは難しかった。

 この問題を解決し、手持ち式の機器で周囲の状況を3D情報付きの動画として記録するだけでなく、BIMでの設計に使う既存建物や街路の3Dモデルもスピーディーにつくれるシステムとして開発されたのが「Robot Eye Walker 4D」だ。