最近、日本のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用が進み、海外のソフト・ハードベンダーも注目し始めた。グラフィソフトはArchiCADの最新版に日本市場向けの機能を搭載し、日建設計と提携を行った。また、大林組は10月、海外の仮想BIMコンペで入賞を果たした。

 数年前は欧米に後れていた日本のBIM活用だが、このところ急速にレベルアップし、世界からも一目置かれるようになってきた。

 そんな中、驚くべきニュースが飛び込んできた。ハンガリーに本拠を置く大手BIMソフトベンダーであるグラフィソフトが、日建設計と戦略的パートナーシップを締結したのだ。11月21日に、ハンガリー大使館でビクター・オルバーン首相立ち会いのもと、調印式が行われた。

ハンガリーのビクター・オルバーン首相立ち会いのもと、戦略的パートナーシップの調印を交わす日建設計代表取締役社長の岡本慶一氏(右)とグラフィソフトCEOのビクター・バルコニー氏(写真:グラフィソフトジャパン)
ハンガリーのビクター・オルバーン首相立ち会いのもと、戦略的パートナーシップの調印を交わす日建設計代表取締役社長の岡本慶一氏(右)とグラフィソフトCEOのビクター・バルコニー氏(写真:グラフィソフトジャパン)

日建設計のノウハウをArchiCADに注入

 今回の提携は、グラフィソフトのBIMソフト「ArchiCAD」に日建設計の設計ノウハウを“注入”し、日本の設計実務で使いやすくするのが狙いだ。ユーザー企業のワークフローに合わせてBIMソフトの「カスタム開発」を行うのではなく、製品そのものに日建設計のノウハウを盛り込もうというのだ。こうすることで、日建設計にとってもカスタム開発を減らせるメリットがある。

日建設計が設計を手がけたホキ美術館(左)と意匠、構造、設備を統合したBIMモデル(右)(資料:日建設計)
日建設計が設計を手がけたホキ美術館(左)と意匠、構造、設備を統合したBIMモデル(右)(資料:日建設計)

 グラフィソフトは今後、数年間にわたり社員を日建設計に派遣し、まずは日建設計での設計プロセスを十分に理解する。

 そして設計実務でのニーズを、ハンガリー本社の開発作業に反映させ、ArchiCADの機能を改善していく。この作業のために両社は4人ずつからなるチームを編成する。