4D、5Dによるコスト、工期の計画
IAI日本が主催する仮想BIMコンペ「Build Live」では、2011年の大会では既にBIMモデルを使った意匠、構造、設備の干渉チェックによる施工性向上や、施工シミュレーションによる施工手順の検討などは当たり前になった感がある。
実際の工事でも、竹中工務店やNTTファシリティーズ、日本アイ・ビー・エムが「バーチャル竣工」という取り組みを行っている。BIMモデル上で細かい部材を含めた施工手順を徹底追求し、手戻り作業をなくすと同時に、維持管理コストを約2割削減するというものだ。
またUNIGENの岐阜工場の建設では、工場の建物の施工を担当した千代田テクノエースが、新菱冷熱工業に施工段階でのBIMによる設計調整業務を発注し、約20社のサブコンで設計の干渉問題を徹底的に解決してから施工したことで、数億円とみられた手戻りがほとんどなく、予定通りの工期で完成したという実例もある。
昨年あたりから、日本でもBIMによる設計とコスト計算を連動させて、設計内容に応じてかなり正確な見積額が自動算出できるようになりつつある。
新国立競技場は東京オリンピックでは「日本の顔」にもなる場所だ。それにふさわしい品質とコストのトレードオフも、合意形成の要になる。もちろん、2019年のラグビーワールドカップに間に合うように工期も計画しなければならない。
こうした議論には、3DのBIMモデルに時間軸を加えた「4D」と、さらにコスト軸を加えた「5D」によって、品質とコスト、工期を分かりやすく説明することで、納得いく説明ができるのではないだろうか。