様々なシミュレーションで結果を「見える化」

 設計案に対して合意を得やすくするためには、その設計がもたらす結果を「見える化」によって分かりやすく示す必要がある。そこではBIMモデルによる様々なシミュレーションがものを言う。

 2009年12月に行われた国際的な仮想BIMコンペ「Build London Live 2009」で、日本チームは見事に最優秀賞に輝いた。その原動力となったのは、他国チームにはない様々なシミュレーションを行ったことだった。

国際仮想BIMコンペ「Build London Live 2009」で日本チームが最優秀賞を獲得する原動力となった様々なシミュレーション(資料:チーム「BIM Japan」)
国際仮想BIMコンペ「Build London Live 2009」で日本チームが最優秀賞を獲得する原動力となった様々なシミュレーション(資料:チーム「BIM Japan」)

 その中には建物の景観や日影解析をはじめ、建物周囲の風の流れ、ヒートアイランド解析、そして施工シミュレーションや非常時の避難解析まで、あらゆる視点で建物完成後の影響を「見える化」したのが勝因だった。

 前述の設計見直しについての要望書には、これらのシミュレーションにより結果を定量的に推測できそうな問題点がいくつもある。IPDで初期設計を固めていく中で、設計案に対する各種のシミュレーションを行っておくことで、合意形成はさらに確固たるものになりそうだ。