自社にメリットのあるBIM、CIM活用とは
BIMやCIMを導入すると、ソフトやハードの購入や社員の教育訓練に多額の費用がかかる。そして習熟するまでは、保険をかける意味で従来の2D図面による作業を並行して行ったり、作業効率が落ちたりする。
そのため、BIMやCIMを使用する代わりに追加の設計費などをもらえる仕組みを作ったり、発注者が導入したりしないと、なかなか普及しないという声もある。
しかし、これまで見てきたように大林組のCIM活用は発注者とは独立した取り組みだ。あくまでも自社のメリットが生まれる部分を選んで活用している。いわばソフト面での「任意仮設」のような考え方に基づき、自社の裁量で最も有効な使い方を計画し、実践しているのだ。
その一方で、「まだまだ取り組みは道半ば。このような進め方がよいとも思わないし、もっと違う流れがあるとも思う。取りあえずやってみて、今後のさらなる拡大方法も考えている。現場から『よかった』と言われるように頑張りたい」(杉浦氏)という。
米国の土木プロジェクトではCIMの活用が進んでいるように思われがちだが、そのほとんどは受注者側からの提案を受けて発注者が採用を決めたものだ。日本の状況も米国とさほど変わらない。今こそ、受注者側からBIM、CIMの有効な活用法について発注者側に提案すべきときではないだろうか。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。
<訂正> 杉浦伸哉氏の人名が誤っていました。お詫びして訂正します。[2013年10月2日10時5分]