活用例3 
調節池の建設現場――3Dによる施工検討会議で飛び出した新アイデア

 東京都東久留米市で建設中の黒目橋調節池3号地の現場では、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)構造の梁と柱からなる立体のラーメン構造を、地上から地下方向に伸ばしていく「逆打ち工法」の採用で、普通は5年ほどかかる工期を約半分に短縮した。

 この現場でも、複雑に入り組む鋼材や鉄筋をCIMソフトでモデル化し、干渉チェックや施工法の検討を行った。過密配筋部の施工手順を検討することで、手戻りゼロを徹底し、短工期を実現することを目指したのだ。

黒目川調節地3号池のCIMモデル(資料:大林組)
黒目川調節地3号池のCIMモデル(資料:大林組)

 一般的な工法では、調節池の底までをまず掘削し、それから柱や梁を立ち上げていく。その場合はどうしても足場が欠かせない。しかし、逆打ち工法は柱1階分ずつ掘り下げながら梁や柱を施工するため、床が常に近くにあることだ。

 「CIMモデルで施工検討を行っているときに、鉄筋工事会社の職人が『足場を組み立てたり撤去したりするのは手間がかかるんだよな。高所作業車を足場代わりに使えないか』とつぶやいた。これが大幅な施工の効率化につながった」と杉浦氏は振り返る。

 その結果、柱の配筋作業では高所作業車が大活躍することになった。CIMモデルによる施工検討が、工事関係者の新しいアイデアを引き出したのだ。

CIMモデルを使った施工法の検討会(写真:大林組)
CIMモデルを使った施工法の検討会(写真:大林組)

CIMモデルを使った施工手順の検討から高所作業車を足場代わりに使うアイデアが生まれた(資料:大林組)
CIMモデルを使った施工手順の検討から高所作業車を足場代わりに使うアイデアが生まれた(資料:大林組)