まずはGDL言語の特訓を10週間
ArchiCAD上のパラメトリックモデルに寸法データを与えるデータベースや、データ連係のソフトは研究室で独自に開発した。
平沢研究室にとってGDL、データベース、C言語は“三種の神器”とも言える存在だ。平沢准教授は「この3つがあれば、たいていの研究ツールが作れる」と語る。
千葉大学の建築学科にはC言語によるプログラミングの授業があり、平沢准教授が担当している。また、平沢研究室に入った学生は、まず10週間にわたりGDL言語の特訓を受ける。そして研究で必要なら、「Postgre SQL」というデータベース言語も学ぶ。
同研究室ではこのほか、複雑な曲面を持った建物を設計・施工する手法として、立体トラスの棒材の長さや接合部の角度を様々に変えて組み合わせる「オーガニック・ストラクチャー」や、互いに交わらない3本の棒材をワイヤでつないだブロックを組み合わせた構造物なども研究している。
また、拡張現実感(AR)の技術を使って街並みや橋などの見え方をシミュレーションしたり、アルゴリズミックデザインの手法で街並みの3D形状を自動発生させたりする研究などにも取り組んでいる。
BIMやARなどのバーチャルな技術だけでなく、丸ノコや電動ドリル、そして3DプリンターやCNCルーターを使ったリアルなものづくりを組み合わせた研究が平沢研究室の特徴だ。
五重塔の部材をBIMによって再現した今回の研究は、その集大成とも言えるものだ。「部材の納まりレベルまできっちりと構法を検証するのが、この研究室のテーマだ。コンピューターなしでも可能だが、コンピューターをフルに活用することによって仮想空間で構法を開発したり、アルゴリズミックデザインと構法を連係したりできるようになるので研究の幅が広がる」と平沢准教授は語った。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。