建築構法の研究を行う千葉大学大学院工学研究科の平沢研究室は、日本の伝統建築である五重塔をBIMで完全に再現。3Dプリンターなどで部材の模型を作り、施工手順も検証した。各部材の3D形状の作成には「GDL」と呼ばれる言語をフル活用した。
千葉大学大学院工学研究科の平沢研究室を訪れると、真っ先に目に飛び込んでくるのは、法華経寺五重塔の骨格を忠実に再現した2つの模型だ。
白い模型は溶けたプラスチックを少しずつ積み上げて造形するタイプの3Dプリンターで各部材を製作し、組み立てたものだ。隣にある茶色の模型はCNCルーターと呼ばれる切削加工機でケミカルウッド(合成木樹脂)から各部材を削り出し、組み立てた。
各部材の接続部となる仕口部も、基本的に実物を再現している。つまり、昔の宮大工がノコギリやカンナで木材を刻むのと同じように、3DプリンターやCNCルーターが部材を作ったのだ。
これらの模型は、五重塔がどのような構法で作られているのかを検証するために作られた。部材を加工する元になったのは、意匠設計用BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト「ArchiCAD」で作られた五重塔の3次元モデルだった。