属性情報は内蔵とリンクの“ハイブリッド方式”で

 「土木構造物」とひと言で言っても、その工種は多岐にわたる。BIMの「ビルディング」に相当するものが、「山岳トンネル」や「シールドトンネル」、「土工」、「防波堤」など、いくつもある。

 構造や機能、求められる精度が異なるため、それぞれの工種に対して「ブリッジ・インフォメーション・モデリング」や「トンネル・インフォメーション・モデリング」、「土工・インフォメーション・モデリング」などがあってもいいくらいなのだ。

 BIM/CIMの特徴は、「構造物の3次元形状」と「仕様などの属性情報」を併せ持つことだ。これらの工種に使われる部材の種類や材質、維持管理に必要なデータなども大きく異なる。

 建築の場合は現在、基本的にすべての属性情報をBIMモデルの内部に格納する方法が主流だ。しかし、土木の場合は写真や構造物台帳など維持管理に関する情報が多いため属性情報のデータ量が大きくなりすぎてしまう可能性がある。

土木構造物は設計・施工のほか維持管理段階では膨大なデータが蓄積される(資料:国総研)
土木構造物は設計・施工のほか維持管理段階では膨大なデータが蓄積される(資料:国総研)

 そこで国総研高度情報化センターが提案しているのは、基本的な属性情報は3次元モデル内に格納し、写真や図面などを含む点検記録は、CIMモデルの各部分からほかの資料に「リンク」を張る“ハイブリッド方式”だ。

 土木構造物には道路台帳や河川台帳などの維持管理の仕組みが整備されており、膨大なデータが蓄積されている。これらの情報資産をCIMと連携させて有効に活用するためにも、ハイブリッド方式は必要だ。

基本的な属性情報はCIMモデルの内部に保存し、台帳などの維持管理情報は外部の資料にハイパーリンクを張る方法のイメージ(資料:国総研)
基本的な属性情報はCIMモデルの内部に保存し、台帳などの維持管理情報は外部の資料にハイパーリンクを張る方法のイメージ(資料:国総研)

CIMモデルに内蔵した属性情報の例(資料:国総研)
CIMモデルに内蔵した属性情報の例(資料:国総研)