細かいところで複雑な曲線や曲面

 一方、例えば橋梁は建築物に比べて一見、単純に見えるが、直線からカーブに移行する区間では平面線形がクルマのハンドルを一定の速さで切ったときに描く「クロソイド曲線」になっていたり、横断面もカーブの曲率にあわせて外側が高くなる「カント」が付いていたりと、微妙で複雑な曲線、曲面の連続体だ。

橋梁のCIMモデルの例。一見、建築物よりもシンプルだが、カーブの平面形状や路面のカントなどは複雑な曲線や曲面からできている(資料:国総研)
橋梁のCIMモデルの例。一見、建築物よりもシンプルだが、カーブの平面形状や路面のカントなどは複雑な曲線や曲面からできている(資料:国総研)

 これと似たようなケースは建築物でもある。例えば、ある立体倉庫の場合、クルマが出入りするらせん状のアプローチ通路は、縦断方向、横断方向にも勾配が付いており、床が平らな建物本体との取り付け部分も複雑な面になっている。

 こうした複雑な曲線で構成される構造物のBIMモデルはそう簡単には作れない。そこでこのアプローチ通路については、まず2Dで形を定義してからBIMソフトの熟練者に3Dモデル化してもらうというような設計プロセスが採られている。

 BIMに慣れ親しんだ設計者や技術者には、「2Dの図面を描いてから3Dモデルにするのはナンセンス」と思う人もいるかもしれないが、土木構造物では、あちこちの案件でこの橋梁の例と同じようなケースが出てくる。「まず2Dで図面化し、それから3Dモデル化」という手順が必要という話も納得できるだろう。