3D配筋CAD for SaaS(フォーラムエイト):スマホで3D配筋図を見る

 設計段階で複雑な配筋を3Dでモデル化し、干渉チェックや組み立て順序を検討しても、最後の現場での施工が設計通りに行われないとそれまでの努力が水の泡となってしまう。ミスなく鉄筋を組み立てるためには、3Dモデルを現場で参照しながら、正確に施工することが必要だ。

 現場での複雑な鉄筋組み立てに便利なシステムがフォーラムエイトから発売された。同社の「UC-1 for SaaS」シリーズの1つで「3D配筋CAD for SaaS」という製品だ。既に発売されている同社の「3D配筋CAD」に対応したAndroid端末用のアプリである。

 その特徴は、Android対応のスマートフォンやタブレット端末上で3D配筋図を表示できることだ。

Android端末上に表示された3D配筋図(左)と、タッチパネルによる操作(右)(写真:フォーラムエイト)
Android端末上に表示された3D配筋図(左)と、タッチパネルによる操作(右)(写真:フォーラムエイト)

 Android端末やファイル共用サーバーの配筋データを読み込み、配筋図の3Dビューや視点移動、鉄筋と躯体の表示切り替えができる。

 さらに2D図面の表示機能もあり、2Dと3Dを同時に表示して見ることも可能だ。図面がよく分からないとき、3Dビューの角度をいろいろと変えて見ると、細部の鉄筋の重なり方などもよく分かり、現場でのミス防止に役立ちそうだ。

3Dビューの操作(資料:フォーラムエイト)
3Dビューの操作(資料:フォーラムエイト)

3Dビューと2D図面の同時表示(資料:フォーラムエイト)
3Dビューと2D図面の同時表示(資料:フォーラムエイト)

鉄筋一覧表による配筋の表示/非表示切り替え機能(資料:フォーラムエイト)
鉄筋一覧表による配筋の表示/非表示切り替え機能(資料:フォーラムエイト)

2D図面の表示機能(資料:フォーラムエイト)
2D図面の表示機能(資料:フォーラムエイト)

 Android端末のカメラ機能を活用して、配筋現場の写真を撮影し、現場写真と3D配筋図を同じ視角でひも付けて保存する機能も備えている。施工前にはこれから配筋する場所と3D配筋図の対応がよく分かり、配筋作業完了後は設計と出来形の記録写真として便利に使えそうだ。

3D配筋図を現場写真にひも付けて保存する機能。枠内の写真は合成(資料:フォーラムエイト)
3D配筋図を現場写真にひも付けて保存する機能。枠内の写真は合成(資料:フォーラムエイト)

 価格は「UC-1 for SaaS 基本ライセンス」が月額4000円(税別。追加ライセンスは2500円)、「3D配筋CAD for SaaS」が月額3000円(同。追加ライセンスは2000円)となっている。

 BIMやCIMの関係者の間では、施工段階や維持管理段階で3Dモデルをどのように活用するかについての関心が高まりつつある。設計で使われるノートパソコンを現場の最前線に持って行くのは難しいが、スマホやタブレット端末で3D配筋図が手軽に確認できるとなると、使ってみたいと思う技術者は多いだろう。

 また、Android版のタブレット端末は2万円を切る製品も登場しており、現場でも気軽に使える。配筋用3Dソフトがきっかけとなり、現場での3Dデータ活用が本格化する日も間近に迫っていることを感じさせる製品だ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。