Tekla Structures 19(テクラ):生コンを高精度で発注できるBIMソフト
構造設計用BIMソフト、「Tekla Structures」はボルト1本まで3次元で設計できる詳細さが売り物だ。もともと鋼構造用だったが、数年前のバージョンから鉄筋コンクリート構造物の設計機能も搭載された。
2013年3月に発売された最新版の「Tekla Structures 19」では、施工現場での活用を考えた新機能が追加された。それは、打ち継ぎ目の入力機能だ。
鉄筋コンクリート工事で問題になるのは、「柱」や「床」、「梁」といったBIMモデルの部材の分け方と、同時に生コンを打設する範囲が違うことだ。例えば、下の図のような場合、柱と梁は別々の部材だが、実際は黄色の線の高さまで、柱と梁を同時に打設する。
もし、打ち継ぎ目のところで柱を分割して入力すると、BIMモデル上で鉄筋を自動配置するときに別々の部材として扱われ、鉄筋も打ち継ぎ目を境に分割されてしまうという問題も出てくる。
そこで、Tekla Structures 19ではBIMモデルを作った後に、鉄筋コンクリート部材に打ち継ぎ目を入力し、コンクリート打設単位ごとにBIMモデルを分割できるようにした。
こうすることで、1回のコンクリート打設工程ごとに生コンの体積が自動集計できる。生コンを発注するときも、数量を精度よく計算できそうだ。
また、コンクリートの壁や柱は、構造上、必要とされる厚さよりも部分的に厚くする「増し打ち」が行われることがよくある。非構造部材ではあるものの、実際は構造部材と一体化している。こうした部材の入力は、BIMソフトでは入力が難しいことが多く、ユーザーにとっても、どう入力するかが悩みのタネだった。
そこで、Tekla Structures 19では「増し打ちコンクリートの配置機能」が搭載された。
しかも、増し打ちの厚さが一定以上になると、自動的に補強筋や帯筋も入力されるという親切さだ。
7月3日に当コーナーで紹介した米国のデンバー国際空港拡張工事では、施工チームは現場でTeklaStructuresを施工管理に使っていた。BIMソフトには高精度の数量集計機能が付いているため、施工管理に使うとデータの精度も1ケタ、2ケタ上がり、残コンクリートなどの発生量も減りそうだ。