BIM、CIMの普及とともに、配筋設計用の3Dソフトが増えてきた。干渉チェックや鉄筋をしならせて干渉を解決する機能、スマートフォンで配筋の3Dモデルを見られる機能、コンクリートの打ち継ぎ目を考慮して生コンの発注を正確に行える機能など、各ソフトとも施工面の効率化を狙っている。

 パシフィックコンサルタンツは、2012年度に国土交通省が行った11件のCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)試行プロジェクトのうち、属性情報や維持管理ツールなどを活用する「先導モデル」という高度なプロジェクトを担当した。

 同社が担当したのは、橋長73m、全幅6.39mのプレストレストコンクリート跨道橋だ。CIM試行プロジェクトでは、地形や橋梁全体のモデリングから、施工シミュレーションまで行った。

 注目すべきはその精密さだ。支承やジョイントのほか、主桁のPCケーブルなどが複雑に入り組む中を無数の鉄筋が横切る。このモデルは最初、作られたときには鉄筋同士や鉄筋とPCケーブルなどとの干渉個所が34カ所あった。

 それを発見し、修正するのに使ったのは、BIM設計をサポートするプロジェクトレビューソフト「Navisworks」(オートデスク)の干渉チェック機能と、同社のBIMソフト「Revit」に搭載された鉄筋3Dモデリング機能だった。

CIM試行プロジェクトで作成した跨道橋の図面(上)とCIMモデル(下)(資料:パシフィックコンサルタンツ)
CIM試行プロジェクトで作成した跨道橋の図面(上)とCIMモデル(下)(資料:パシフィックコンサルタンツ)

複雑に入り組んだ鉄筋の間を通るシース管の状況もよく分かる(資料:パシフィックコンサルタンツ)
複雑に入り組んだ鉄筋の間を通るシース管の状況もよく分かる(資料:パシフィックコンサルタンツ)

ジョイント周りのモデリング(資料:パシフィックコンサルタンツ)
ジョイント周りのモデリング(資料:パシフィックコンサルタンツ)

 ここ数年、鉄筋量の多い建物や構造物が増え、現場における鉄筋の干渉問題や、鉄筋の空きやかぶりが十分とれないことによるコンクリート打設上の問題も表面化してきた。この問題を解決するため、複雑な配筋を3次元的に干渉なく設計し、現場で配筋できるようにするためのBIMソフトや専用ソフトを上手に活用したのが冒頭のパシフィックコンサルタンツのケースだ。そして、こうした機能をもつBIM関連ソフトが増えてきた。以下、いくつか紹介していこう。