米国の官庁が集まる首都、ワシントンDCの南西地区では、環境配慮型都市への大改造計画が進んでいる。温室効果ガスの排出量の半減、使用水量の7割減など高度な目標を実現するために考え出されたのが、BIMとGISを組み合わせた「GEO BIM」というシステムだ。

 2013年6月に米国デンバーで開催されたAIA(アメリカ建築家協会)の全米大会では、「GEO BIM」というキーワードがBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)関係者の注目を集めた。

 「GEO BIM」とは、BIMとGIS(地理情報システム)を組み合わせることにより、都市規模でのエネルギー解析を行いながら、最適な都市計画を行う手法だ。

 米国のワシントンDCでは、官庁が集まる南西地区を対象に「SWエコディストリクト(SW Ecodistrict)」と名付け、環境配慮型都市に大改造する計画が進んでいる。連邦調達庁(GSA)と国家首都計画委員会(NCPC)、ワシントンDCは、この計画を実現するために革新的な計画手法を共同で開発している。それが「GEO BIM」だ。

 AIAの講演では、2012年までGSAの職員を務めたステファン・ハガン氏、BIMによる建築計画を行うクラウドシステムを運営するオーヌマ社のキモン・オーヌマ氏が、GEO BIMのコンセプトとSWエコディストリクトの都市計画ツールとして「GEO BIM」を活用するイメージを発表した。

AIA全米大会が開催されたデンバーのコロラドコンベンションセンター(写真:家入龍太)
AIA全米大会が開催されたデンバーのコロラドコンベンションセンター(写真:家入龍太)

「GEO BIM」について講演するステファン・ハガン氏(左)とキモン・オーヌマ氏(右)(写真:家入龍太)
「GEO BIM」について講演するステファン・ハガン氏(左)とキモン・オーヌマ氏(右)(写真:家入龍太)