点群とBIMで施工管理を自動化

 点群データとBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を組み合わせることにより、施工管理を自動化する研究も目立った。

 韓国ソウルの中央大学校(Chung-Ang University)の研究者、チャンミン・キム(Changmin Kim)氏は「BIMモデルと点群データによる工程計画の自動更新システム」という研究成果を発表した。点群データに基づいて、BIUMモデルに現場での施工段階を自動的に反映させる技術だ。

IWCCE 2013で発表する中央大学校のチャンミン・キムさん(写真:家入龍太)
IWCCE 2013で発表する中央大学校のチャンミン・キムさん(写真:家入龍太)

 まず、BIMソフト「Revit」で鉄骨などの全体モデルを作っておき、それに現場で計測した3次元の点群データを重ね合わせて、両者の「干渉チェック」を行う。

 BIMモデルの部材表面付近に点群データがあれば「施工済みの部材」と判断してBIMモデルを残し、点群データがなければ「未施工の部材」と判断してBIMモデルを削除する。こうして、現在までに施工されたBIMモデルを作成する仕組みだ。BIMモデルを点群と比較し、モデルを削除する機能はRevitのアドオンソフトとしてキム氏が自分で開発したそうだ。

施工段階のBIMモデルを自動作成する手順。(1)3Dレーザースキャナーによる計測、(2)点群データとBIMモデルの自動合成、(3)点群データとBIMモデルの比較、(4)現在までの施工されたBIMモデルが完成(資料:Changmin Kim)
施工段階のBIMモデルを自動作成する手順。(1)3Dレーザースキャナーによる計測、(2)点群データとBIMモデルの自動合成、(3)点群データとBIMモデルの比較、(4)現在までの施工されたBIMモデルが完成(資料:Changmin Kim)

 点群データの干渉チェックは、既存建物の増築やプラント設備の更新工事などの設計に用いられるが、施工段階に適用しBIMモデルと自動連係させるという着想は斬新だ。

このシステムで作った施工途中のBIMモデルは、さらに工程計画の予定と実際のBIMモデル比較を行って「Sカーブ」と呼ばれる累積工程曲線を作成したり、工事進行基準による工事費支払いのベースとして使用したりと、様々な用途に使えそうだ。