6月に米ロサンゼルスの南カリフォルニア大学で開かれた米国土木学会(ASCE)のワークショップでは、BIMや3Dレーザースキャナーなどについてのユニークな研究の発表が相次いだ。未来のBIM/CIMを予感させる研究を紹介しよう。
6月23日~25日まで、米国ロサンゼルスの南カリフォルニア大学で、米国土木学会(ASCE)のIWCCE(International Workshop on Computing in Civil Engineering)という土木分野でのIT活用に関するワークショップが開かれた。
その前週にデンバーで開催されたAIA(アメリカ建築家協会)は建築実務者の発表が多いのに対し、IWCCEは研究者が主体だ。まだ実用化に至っていない分、ユニークで先端的な土木分野でのIT活用の研究が目立っていた。
点群データを画像解析によって自動合成
3Dレーザースキャナーによる計測作業で面倒なのは、建物や構造物のまわりから数カ所で計測した点群データを正確に位置合わせしながら1つにまとめる作業だ。
通常は「ターゲット」という目印となるボール状の目印を現場周辺に置いて、それを手かがりに点群データ同士の位置合わせを行っている。
これに対して、ネブラスカ大学の大学院生、メンメン・ガイ(Mengmeng Gai)氏が発表したのは、ターゲットの代わりに周囲の風景を手かがりに自動的に点群データの合成を行うシステムだ。点群データと同時に撮影した高画質のデジタル画像を処理するのだという。
実験の結果、位置のずれは最大で79mm、角度は最大で2.5度のずれがあったが、合成にかかる時間はわずか2.5秒と圧倒的に短くなった。3Dレーザースキャナーの計測精度に比べると、まだまだ誤差は大きいが、今後、精度が向上すれば3Dレーザースキャナーを使った計測作業が楽になりそうだ。