BIMモデルをiPadに入れて活用
施工管理を担当する技術者は、携帯端末iPadを持ち歩いている。過去の工事写真など、施工管理の記録とともに、詳細構造設計用ソフト「TeklaStructures」で作成したBIMモデルも現場に持ち運んで使っている。
現場でBIMモデルが役立った代表例に「バナナ」と呼ばれる複雑な形をしたコンクリート構造物の施工がある。ホテルと駅舎の接続部分に設けられ半円状の屋根の基礎となる部分で、外観は複雑な3次元曲面、内部には簡単には曲げられない太い鉄筋がぎっしりと納められている。
その型枠は四角形ではなく、様々な台形を組み合わせて作った。型枠の展開図の作成や、現場での施工管理などにBIMモデルの3次元情報が大いに役立った。
このプロジェクトでは、設計チームがオートデスクを発注者のデンバー市に紹介した。その結果、デンバー国際空港の工事ではBIM活用が義務化された。デンバー市がBIMの導入を決めたのは、生産性向上などの効果により、同市が支出するコストを3分の1に圧縮できることが決め手だったようだ。
施工チームもBIMを押しつけられたという感じではなく、図面の代わりにiPadを持ち歩き、メリットを積極的に見つけて活用している。
日本では国土交通省がCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の導入を提唱し、2012年から試行プロジェクトが行われているが、義務的に行っているという声も聞く。
しかし、デンバー国際空港の現場でのBIM活用を見ている限り、そのような「押しつけられ感」はない。それぞれの担当者が、BIMをありがたいものとして使っているのが印象的だった。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。