米国は日本より数年、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用が先行している。建築分野ばかりでなく土木分野でも、日本のCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の未来像をイメージさせるようなBIM活用が行われている。今回から数回にわたり、米国のBIM最新事情を現地からお伝えしよう。第1回はプロジェクト関係者のコラボレーションを促進するBIMエンジニアという新職能についての報告だ。
ロサンゼルスのダウンタウンにそびえ立つ高層ビルにある大手建設コンサルタント、パーソンズ・ブリンカーホフ(Parsons Brinckerhoff)のロサンゼルス事務所には、「CAVE(ケイブ)」と呼ばれる特別な部屋がある。施主や各専門工事会社などのプロジェクト関係者をここに集めて、プロジェクトの設計や施工計画を確認したり、躯体と設備の干渉チェックや解決方法を検討したりする部屋だ。CAVEとは「Collaborative Audio Visual Environment」の略で、「オーディオ・ビジュアル(AV)機器を使ったコラボレーション環境」を意味する。
部屋の正面には3D映像も投影できる大型スクリーンがあり、パソコンやドライビングシミュレーター用のハンドルやアクセル装置、そしてあちこちに3D映画を見るときに使われるような3Dメガネが置いてある。壁は議論のための板書がすぐ行えるようにホワイトボードになっている。
パーソンズ・ブリンカーホフでは、ニューヨークやシアトル、デンバーの事務所にも同様な「CAVE」を設置している。ロサンゼルス事務所の「CAVE」は最も新しく、2011年に開設された。各ケイブ間では通信回線を利用してテレビ会議を行うこともできる。