住宅やビルで、商用電源など外部から導入する一次エネルギー使用量を実質ゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー化」が進んでいる。その中核はエネルギーの使用量をリアルタイムで監視・制御するエネルギーマネジメントシステムだ。トンネル工事現場でもエネルギー使用量を「見える化」し、無駄の削減に取り組む例が出てきた。
これまでスマートハウスは、HEMS(ホーム・エネルギ-・マネジメント・システム)によって、太陽光発電パネルなどの「創エネ」装置、高効率給湯器などの「省エネ」装置、住宅用蓄電池などの「蓄エネ」装置を制御し、電力使用を最適に制御することを売り物にする商品が多かった。しかし最近は、住宅本体の断熱や自然換気などパッシブな性能を高め、「光熱費ゼロ」をしのぐ「ネット・ゼロ・エネルギー」を売り物にする商品が増えてきた。
例えば2013年4月8日に積水ハウスが発売したスマートハウス「グリーンファースト ゼロ」(PDF)は、 複層ガラスや高断熱サッシを採用し、関東以南でも東北北部のレベルまで断熱性を高めている。日射や通風などに配慮したパッシブ設計を導入することによってネット・ゼロ・エネルギー化を実現した。
「創エネ」装置としては太陽光発電システムと燃料電池、「省エネ」装置としては高効率エアコンやLED照明など、「蓄エネ」装置としては住宅用蓄電池を採用した。これらの3電池の運転状況をクラウドシステムで監視する「3電池の見守り機能」も持つ業界初のHEMSを導入している。
その結果、140m2の住宅(4.5kWの太陽光発電を搭載)を例にすると、経済産業省が2013年に達成すべき水準とされた標準的世帯の消費エネルギー75GJを上回る78.1GJを削減でき、ネット・ゼロ・エネルギーを達成した。
また光熱費は1990年ごろの住宅に比べると30万4000円も節約でき、年に1万4800円の“利益”が出る計算だ。
積水ハウスは新築一戸建て住宅における「グリーンファースト ゼロ」の割合を2013年度は40%、さらに2014年度には60%と増やしていく計画だ。政府は2020年までにネット・ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)を標準的な新築住宅にすることを目標にしているが、それを一歩先取りした形になる。