ポイント1:CIMの定義――3D、属性情報にセンサー情報も加える

 BIMは「BIM=3D形状+属性情報」であり単なる3次元設計とは異なる。すなわち、建物などの形状や寸法を表す3次元モデルに、各部分の材質や仕様などの建物データベースを属性情報として埋め込み、一体のデータとして扱うという意味だ。

 今回の報告書ではCIMの定義として、上記の要素のほかにもう1つの要素を挙げている。それは「維持管理を考慮した計測機器の組み込み」だ。つまり、構造物に取り付けたセンサー類の最新情報もCIMのモデルに統合しようという考え方だ。

維持管理におけるセンサー技術の活用。CIMには維持管理を考慮した計測機器の組み込みという視点も加えられた(資料:JACIC)
維持管理におけるセンサー技術の活用。CIMには維持管理を考慮した計測機器の組み込みという視点も加えられた(資料:JACIC)

 BIMによる維持管理はまだ始まったばかりだ。BIMモデルとBEMS(ビルエネルギー管理システム)やBA(ビルオートメーションシステム)などを連携させ、日々のファシリティー・マネジメント(FM)をBIMモデルを使って行うようなシステムである。

 CIMが対象とする道路や橋梁、トンネルなどは、建築物に比べて構造物自体の劣化や変状を監視し、定期的に補修を行う維持管理業務が大きい比重を占める。報告書では、BIMによる維持管理のビジョンを取り入れただけでなくセンサー情報の活用に触れた点に、CIMの方向性が感じられる。