国土交通省が試行を始めたCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)活用の技術的な検討を行っている「CIM技術検討会」は2013年4月、2012年度の報告書を公表した。CIMに対する共通認識と課題を明らかにした報告書から、7つのポイントを解説する。

 建築分野で生産性向上などの成果を上げつつあるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の手法を、土木インフラ分野に活用するCIMへの取り組みが始まった。まず昨年7月4日に日本建設情報総合センター(JACIC)がとりまとめ役を務める民間団体主体の「CIM技術検討会」が発足、続いて同年8月10日に国交省が「CIM制度検討会」を発足した。両検討会は車の両輪のような位置付けだ。

 CIM技術検討会が昨年7月に1回検討会を開いた当初、メンバーの間でのCIMの活用イメージはバラバラだった。そこから4回の検討会や5回のワーキンググループ会合を開き、現地調査を行いながら、CIMに対する共通認識と課題を抽出していった。

 その活動成果をまとめた報告書「CIM技術検討会 平成24年度報告」が、2013年4月にJACICのウェブサイトで公開された。日本におけるCIM活用の方向性の技術的なビジョンをまとめたものとして、注目すべき文書と言える。

報告書「CIM技術検討会 平成24年度報告」の表紙(左)と中身の例(右)(資料:JACIC)
報告書「CIM技術検討会 平成24年度報告」の表紙(左)と中身の例(右)(資料:JACIC)

 かつて国交省主導で推進されたCALS/ECでは情報を電子化することに主眼が置かれ、電子入札や電子納品などが実現した。しかし、納品された電子情報を効果的に活用し、設計段階で作られた電子情報を施工段階で活用したり、電子納品された出来形図面を維持管理に利用したりすることで生産性を高めるまでには至らなかった。

 その反省点を踏まえて、CIM技術検討会では発注者側よりも受注者側の生産性向上を重視して、CIMをどのように土木インフラ分野で活用していくかを追求している。また、先行している建築分野のBIM活用をヒントにしたCIM活用構想も見られた。報告書のポイントを紹介しよう。