クラウドに解析機能をもたせたオートデスク

 オートデスクは以前から建築や土木・インフラ、プラントなどの分野向けのスイート製品を発売している。BIMによる設計やCG、アニメーションの作成を行うソフトを集めた「Building Design Suite」や、CIMに対応したソフトを集めた「Infrastructure Design Suite」などの製品だ。

 例えば「Building Design Suite」には、含まれるソフトの本数によって「Standard」、「Premium」、「Ultimate」の3種類がある。中間の「Premium」の場合、意匠設計用BIMソフト「Revit」や「AutoCAD」、複数のBIMモデルを統合する「Navisworks Simulate」、高画質のCGや動画を作る「3ds Max」など9本がセットになっている。

●Building Design Suite(Premiumエディション)の製品構成
ソフト名参考価格(税込み。円)
AutoCAD614,250
AutoCAD Architecture766,500
AutoCAD MEP(英語版)
AutoCAD Structural Detailing(英語版)
Showcase153,500
SketchBook Designer9,450
Revit(※価格はRevit Architecture)845,250
3ds Max Design535,500
Navisworks Simulate309,750
合計(英語版を除く)3,234,200
Building Design Suite(Premiumエディション)の価格997,500

 Building Design Suiteの価格は99万7500円(税込み)で、各ソフトを別々に買うのに比べて3分の1以下だ。そのため、これまでは価格面であきらめていたソフトも使うことができる。オートデスクのソフト同士なので、データ交換もスムーズに行えるというメリットもある。

 まだ日本語版は発売されていないが土木・インフラ分野向けのスイート製品最新版の「Infrastructure Design Suite 2014」では、土木設計用の3次元CAD「Civil 3D」や広範囲の地形やインフラを3Dモデル化する「Map 3D」、「Infraworks(旧・Infrastructure Modeler)」のほか、3Dレーザースキャナーで計測した構造物や地形などの膨大な点群データを読み込み、3Dモデル化などの処理を行う「ReCap」などが含まれている。

 オートデスクのスイート製品もクラウドとの連携を重視している。データの共有や連携のほか、高性能なコンピューターが必要な高画質のCG作成や解析、シミュレーションなどを「Autodesk 360」というクラウドサービスで行えるのが特徴だ。

 クラウドサービスを導入することで、ソフトだけでなく最新の高性能コンピューターをいつでも使えることになる。数年で陳腐化する高価でハイスペックのワークステーションを購入するのか、クラウドを使うのか判断も、設計事務所や建設会社の投資採算性(ROI)を向上させるために重要になりそうだ。