スイート化で新たにソフト間の連携機能を開発

 フォーラムエイトはこれまで単体製品だった各設計ソフトを、「スイート」としてまとめることで、ソフト同士の連携機能も新たに開発した。例えば、複数の橋脚と橋台からなる橋の応力照査結果を報告書にする時、これまでは各ソフトで計算した結果を手作業で切り張りしてまとめる必要があった。

 それがスイート製品では、「橋脚の設計」や「橋台の設計」によって個々の橋脚、橋台について計算した後、ソフト上で複数の計算結果を選択と、ひとまとまりになった表を作ってくれる機能が追加されたのだ。

橋台や橋脚の複数の計算結果を選択する(資料:フォーラムエイト)
橋台や橋脚の複数の計算結果を選択する(資料:フォーラムエイト)

橋全体の橋台、橋脚をまとめた計算結果の一覧表がソフト上で作成される(資料:フォーラムエイト)
橋全体の橋台、橋脚をまとめた計算結果の一覧表がソフト上で作成される(資料:フォーラムエイト)

 また、橋などの設計の際に、全体モデルで耐震計算などを行って得られた支承の反力などを橋脚の設計ソフトに渡して計算し、橋脚耐力の計算結果をバックするなどのソフト間のデータ連携もスムーズに行えるようになった。

スイート製品に含まれるソフト間で構造物の形状や荷重などのデータを交換することにより、入力データ作成の手間を省力化するイメージ(資料:フォーラムエイト)
スイート製品に含まれるソフト間で構造物の形状や荷重などのデータを交換することにより、入力データ作成の手間を省力化するイメージ(資料:フォーラムエイト)

 フォーラムエイトのスイート製品には、クラウドサーバーとの連携機能も設けられた。クラウドサーバーに設計データなどのファイルを保存しておき、各ソフトで読み書きしたり、他のユーザーと共有したりすることができる。また、手元のパソコンで編集中のデータを定期的にクラウドにバックアップすることができる。

 複数のソフトを使って、1つの構造物の設計を行う時にソフト間でのデータ連携をスムーズに行うことは、設計業務の効率化に役立つ。スイート製品がクラウドと連携することで、複数のメンバーや遠隔地の部署とのスムーズな共同作業が可能になる。

 データを共有・再利用することによって手作業による再入力を減らせるというわけだ。そのため異なるソフトを使うたびに入力データを作る手間が減るほか、ヒューマンエラーによるミスも防ぎやすくなる。

 こうしたソフトを連携させた使い方は、1つの構造物のモデルに属性情報を入力して、様々な設計・施工・維持管理の業務に使い回すことで生産性の向上を図るというCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の考え方に似ている。スイート製品のデータ連携の有効活用は、CIMによる業務効率化の第1歩と言えるだろう。