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イエイリ建設IT戦略

iPadでプロジェクションマッピングも!広がる活用分野

2013/04/17

アップルコンピュータのタブレット端末「iPad」の活用範囲が建設業界やその周辺でも広がっている。小型、軽量で通信機能やカメラ、衛星利用測位システム(GPS)、加速度センサーなど多彩な機能を生かし、工事現場での施工管理をはじめ、震災復興計画、生態調査、そしてプロジェクションマッピングや歴史的建造物を生かした観光開発まで、iPadならではの機能を生かした活用例を紹介しよう。

事例1:公営住宅の完成イメージを拡張現実感で確認(Autodesk 360 Infrastructure Modeler for Mobile)

 東日本大震災で巨大津波により被災した岩手県大槌町の屋敷前地区では、災害復興公営住宅の建設が始まっている。2012年12月、工事が始まる前の現場に大槌町復興局や地域整備部の担当者などがiPadを持って集まった。その目的は、建設後の公営住宅がどのようになるのかを現場で確認するためだ。

岩手県大槌町屋敷前地区で行われている災害復興公営住宅の建設工事(写真:家入龍太)

 iPadには公営住宅や周辺の敷地を3Dモデル化したデータが入っており、現場で写真を撮るようにiPadを構えると、3Dモデルが現場の風景が重なって表示される。現場には何も建っていないにもかかわらず、あたかも完成後の公営住宅がそこに建っているように見えるのだ。

 iPadを持ってぐるりと体の向きを変えると、景色とともに公営住宅も連動して動く。建物の方向に歩いて行くと、仮想の建物に入って部屋の中を見ることができる。

建設予定地で行った公営住宅の完成イメージの確認作業(左)。建物が建つ方向にiPadを向けると、まるで公営住宅がそこに建っているかのように見える(右)(写真:オートデスク)

 「建設予定地の中を歩き回ると建物のスケール感などがよく分かった」と、大槌町復興局復興推進室主事の松橋史人氏は語る。

 これは現実の風景と仮想の3Dモデルをその場で合成するAR(拡張現実感)という技術を使ったシステムだ。

 iPadにはオートデスクがiPad用に開発したフリーアプリ「Autodesk 360 Infrastructure Modeler for Mobile」がインストールされている。公営住宅の3Dモデルは、住宅設計用の3次元CADで作成し、オートデスクの「Infrastructure Modeler」に読み込み、iPadで見られるデータに変換したものだ。

 3Dモデルの作成は、デジタルエンジニア育成センター(岩手県北上市)の黒瀬左千夫センター長と主任講師の榊原健二氏が担当した。

 同センターは、2011年末に大槌町が策定した東日本大震災津波復興計画基本計画をInfrastructure Modelerで3Dモデル化する支援を行ってきた。町内10の地域の復興計画を3D化し、住民説明会などで使用したり、大槌町のウェブサイトに掲載したりした。その後、計画の具体化に合わせて3Dモデルを修正してきた。

 公営住宅の計画が決まるとその建物を3Dモデル上に追加した。さらにビデオ化したものを大槌町役場や近隣のショッピングセンターに設けられた大槌町復興まちづくり情報プラザのモニターで上映し、公営住宅のPRにも使われた。

大槌町の復興計画を3Dモデル化したもの(資料:いわてデジタルエンジニア育成センター)

ショッピングセンターの2階に設けられた大槌町復興まちづくり情報プラザに設けられたモニター(左)と画面(右)(写真:家入龍太)

 ARを使った現地視察は、この3Dモデルの用途を拡大したものと言える。3Dモデルを現場の風景と合わせて見ることで、計画のスケール感や臨場感がどのように違うかをテストする目的があった。また、模型は一度、作ってしまうと計画変更とともにどんどん実態と合わなくなってしまうが、3Dモデルは計画変更があると簡単に修正し、最新版をリアルに見られる。そして様々な目的で幅広く使える。これが3Dモデルの強みだ。

 今回は試験的な試みだったのでiPadはいわてデジタルエンジニアリング育成センターのものを使ったが、iPadが町役場に用意してあれば、町の職員自身がiPadを現場で操作し、ARによる復興計画の説明などに活用できそうだ。

大槌町の復興のシンボル、おらが大槌復興食堂(右)と町方ドーム(左)(写真:家入龍太)

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