屋根だけでなくファサードに設けた数多くのひさしにも太陽光発電パネルを敷き詰めた木造建物がスペイン・バルセロナで建設された。太陽光発電を最大限に生かすため、ひさしの角度や長さは最適に設計された。「エネルギーが形を決める」というデザインだ。設計にはアルゴリズミックデザイン、施工にはCNC(コンピュータ数値制御)ルーターなどを使って5週間で建設された。
スペイン・バルセロナで2012年11月に開催された「スマート・シティ・エキスポ2012」の会場ともなったこの建物は「エンデサ・パビリオン(ENDESA PAVILION)」と呼ばれ、エネルギーの自給自足を行えるようになっている。2011年の11月から2012年の12月までの約1年間、次世代電力網関係する実験プロジェクトの計測や制御を行う施設として使われた。
屋上全面と、南面を中心に取り付けられた「ソーラーブリック」と呼ばれる三角形のひさしの上にびっしりと太陽光発電パネルを敷き詰め、建物で消費する電力の1.5倍もの電力を生み出す。余った電力は建物脇に設けた電気自動車(EV)の充電ステーションなどに供給している。
設計・施工はバルセロナにある建築教育・研究機関である「IAAC(Institute for Advanced Architecture of Catalonia)が行い、スペイン最大の電力会社、エンデサ社(Endesa)が協力した。