駅舎屋根のデザインと模型の作成
イタリア北部のスサ渓谷に建設する鉄道駅の設計コンペでは、屋根全体に三角形の切れ込みを入れ、場所によって取り付け角度を少しずつ変えるデザインを採用した。遠目から見ると、角度を付けた三角形が微妙な曲線を描くグラデーションとなる。
そこでデザインのベースとなる曲線自体は設計者の感性によって描くこととし、曲線からの距離に応じた屋根板の取り付け角度を計算するのに、グラスホッパーのアルゴリズムを組んだ。
斎藤氏がプログラムしたグラスホッパーを設計者が操作し、屋根上にいろいろな曲線を描いては全体的な見え方を満足のいくまで調整した。多数の屋根板にそれぞれどの程度の角度を付ければいいのかは、コンピューターが自動的に計算してくれる。
出来上がった屋根の3次元モデルデータから、展開図を描き出した。設計コンペでは、その図のデータをレーザーカッターにインプットし、材料を切断して模型の作成も行った。
隈研吾建築都市設計事務所は、このコンペを経て実施設計も行った。