型枠の転用スケジュールも管理

 BIMモデルは鉄筋コンクリート造の梁や床の施工にも使った。鉄筋コンクリート梁を配管などが貫通する部分をあらかじめ確定しておき、鉄筋と干渉しないようにしたほか、配筋の位置を決めておくことで、コンクリート打設前の検査も簡単になった。また打設するコンクリートなどの数量計算も正確に行うことができた。

 さらにBIMモデルは型枠の転用スケジュールの管理にも使った。梁のコンクリート打設に使用した型枠は数百枚で大きさも異なっていた。ハードストーン・コンストラクション社では、各型枠に番号を付けて管理し、どの番号の型枠をどの梁の施工に使うかを管理しながら何度も転用した。その結果、型枠を正しい場所に正しい順序で移動させながら、最大限に再利用したのだ。こうした再利用も施工の効率化につながった。

 同社で3D建設コーディネーターを務めるパトリック・ルー氏は「現場にある型枠の数量と、どの型枠がいつ利用できるのかを正確に把握できた。そのため、一度に打設を行わず、スケジュールをずらしながら施工を進めることができた」と説明する。

鉄筋コンクリート梁の貫通部は、あらかじめ鉄筋との干渉を避けて設計した(左)。現場での配筋チェックも図面中に正確な鉄筋の位置が記入されているため楽に行える(右)(写真:ダッソー・システムズ)
鉄筋コンクリート梁の貫通部は、あらかじめ鉄筋との干渉を避けて設計した(左)。現場での配筋チェックも図面中に正確な鉄筋の位置が記入されているため楽に行える(右)(写真:ダッソー・システムズ)

図面通りに組み立てられた鉄筋(写真:ダッソー・システムズ)
図面通りに組み立てられた鉄筋(写真:ダッソー・システムズ)