航行する船舶の位置をグーグルアースで見る

 冒頭の「グーグルアースを見れば艦船の位置が分かる」という話は、国内外の沿岸部に限っては、あながちうそとは言えない。

 「MarineTraffic」というkmlファイルを読み込めば、グーグルアース上で時々刻々と移動する船舶の位置をほぼリアルタイムで見ることができるのだ。自衛隊などの艦船も多数の船が行き交う航路部などでは見えることがある。

 旅客船はブルー、貨物船は緑、タンカーは赤などに色分けされているので船種も一目で分かる。航行中の船は進行方向に矢印が出ている。

 表示させると船の位置は動かないが、船舶の位置情報は100秒ごとに更新されているという。時々、メニューバーで「編集」→「更新」とクリックするとそれぞれの船が移動していることが分かる。

浦賀水道付近を航行中の船舶。船名や進行方向、速度などが分かる。船のアイコンをクリックすると写真付で詳しい情報が表示される(資料:MarineTraffic)
浦賀水道付近を航行中の船舶。船名や進行方向、速度などが分かる。船のアイコンをクリックすると写真付で詳しい情報が表示される(資料:MarineTraffic)

 このシステムは、国際航路を航行する船舶などに搭載されているAIS(自動船舶識別装置)によって無線送信される船名や位置、進行方向、速度などの情報を受信して得たデータをインターネットで配信しているもので、普通のウェブブラウザーがあればウェブサイト「MarineTraffic.com」でも、同様の画面を見ることができる。

 ただし、自衛隊などの艦船は任務の性格上、AISの電波を止めていることもあるので、その時はこのシステムでは見えないが。

ウェブサイト「MarineTraffic.com」で見た浦賀水道付近を航行する船舶(資料:MarineTraffic)
ウェブサイト「MarineTraffic.com」で見た浦賀水道付近を航行する船舶(資料:MarineTraffic)

 これと同様のシステムは、建設業でも廃棄物の適正処分や残土の搬出入管理などに使えそうだ。例えば、東日本大震災で被災した岩手県山田地区では、災害廃棄物を運搬するダンプトラックにGPS機能付きの情報端末を搭載し、走行位置や速度などの情報を収集し、交通状況に応じた運行管理を行っている。(2012年9月5日の記事を参照

 このプラットフォームとしてグーグルアースを採用し、すべてのダンプトラックにGPSを搭載して運行状況をガラス張りにすることで、不法投棄が行われる場所に停車していないかの監視や、残土を搬出入するダンプの到着時刻を現場で予想できるようにするなど、幅広い用途に使えるだろう。ダンプの動きを一般公開することで、建設業に対する関心や理解も深まるのではないだろうか。