河川台帳などのデータベース化
GISやGPS、クラウドとの連携で情報共有を促進
川は生き物だ。基本的には土の構造物であり、流水や洗くつ、浸食などの影響で河道の地形は常に変わる。
護岸やえん堤などのコンクリート構造物もあるが、これらは「可とう性」や「屈とう性」、「不連続性」といった柔軟な性質があり、河道の変化に追従して変形する構造になっていることが多い。
こうして絶えず変形する構造物の状態を常時、把握し、様々な検討の基となる河川台帳や施設台帳のデータベースには、完成時の出来形図や測量結果だけでなく、時々刻々と変わる河道や堤防などの変状や被災状況などをスピーディーに反映できるものが必要だろう。
そこで、有効と考えられるのが、GIS(地理情報システム)やGPS(全地球測位システム)と連動したデータベースだ。河川には広大な高水敷や形が変わりやすい低水敷など、位置を表現するための目印となるものを設置しにくい。
位置情報をGISの座標として管理し、GPSによる位置情報と河川の現況をひも付けて随時、更新していくのだ。
中間とりまとめでは「河川カルテの作成等に当たっては、現場でのデータ入力、利活用をより容易にしていくためICTを活用していくべきである」としている。
2012年9月28日に開催された第2回の委員会では、国交省水管理・国土保全局が提出した「河川の管理にかかる最近の取り組み例」という資料の中で、同省が河川の維持管理に関する様々な技術開発に取り組んでいる例を紹介している。
河川維持管理データベースの構築は、クラウドコンピューティングとタブレット端末を活用することで、効率的に行えそうだ。例えば、GPS機能を備えたタブレット端末で現況写真や測量結果などをその場で入力し、クラウド上に設けたデータベースを更新するという方法だ。
市販されているシステムとしては、あっとクリエーションの現地調査・施設管理支援GIS地図クラウドシステム「カンタンマップ for iPad」や、GPSと連動したオートデスクのタブレット端末用CAD「AutoCAD WS」、応用技術のクラウド型施設点検管理システムなどが、こうしたデータベースの構築と利用のイメージに近いかもしれない。