住宅メーカーや家電メーカーからスマートハウスやHEMS(住宅エネルギー管理システム)が、続々と発売されている。東日本大震災の直後は日本のエネルギー供給不安に対応する商品という側面が強かったが、最近、日本発のスマートハウス技術が海外に輸出されたり、自動車業界がスマートビル分野に進出したりするなど、ビジネスとしての広がりが見え始めた。

 スマートハウスとは、自家発電用の太陽光発電パネルやその余剰電力を蓄える住宅用蓄電池を備え、HEMSによって空調機器や給湯機器などの運転を最適に制御することにより、省エネやピーク電力の削減などを行う住宅だ。

 日本では2011年の東日本大震災以降、大手住宅メーカー、電機や家電業界によって活発化したスマートハウスビジネスだが、最近では海外にも進出をし始めた。

大和ハウス工業がシンガポールでHEMSを展開

 大和ハウス工業は1月25日、シンガポールの高級マンション「ECHELON(エシェロン)」に、同社が開発した「D-HEMS」が採用されたことを発表した。

 同マンションは43階建て、508戸からなり、各戸の専有面積が40~379m2、販売価格は80万シンガポールドル(約5600万円)~715万シンガポールドル(約5億円)だ。このうち、152戸の「プレミアム物件」にD-HEMSが採用される。

 D-HEMSとは大和ハウスが開発したHEMSで、同社が住宅内の家電や設備を統合的にコントロールするアプリを開発した「住宅API」や、日本の標準規格である「ECHONET Lite(エコーネットライト)」に対応しており、現地のライフスタイルに合わせたカスタマイズが可能だ。

 大和ハウスによるとECHONET Liteに対応したHEMSが海外で採用されるのは、初めてだという。

大和ハウス工業の「D-HEMS」が採用されたシンガポールの高級マンション「エシェロン」(写真・資料:大和ハウス工業)
大和ハウス工業の「D-HEMS」が採用されたシンガポールの高級マンション「エシェロン」(写真・資料:大和ハウス工業)