日本では建設業の成長戦略の一つとして海外のへの展開が注目されている。海外の施主や設計事務所、専門工事会社とのスムーズなコミュニケーションには、設計や施工の内容をビジュアルに可視化できるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が強力な武器となる。そこで当コラムでは、日本企業が海外でBIMにどう活用すべきかを知るため、シンガポール、タイ、ベトナムの3カ国におけるBIM活用の最前線を現地取材した。まずはシンガポールのランドマーク的施設となったマリーナ・ベイ・サンズの建設がBIMでどのように設計、施工されたのかを追った。


 シンガポール中心街に隣接する埋め立て地に建設された複合施設「マリーナ・ベイ・サンズ」は、3棟の高層ホテルの屋上をまたぐ「スカイパーク」で日本でもすっかりおなじみとなった。施設内には大きな花が開いたような形の「アートサイエンス・ミュージアム」もある。

シンガポールの新しいランドマークとなったマリーナ・ベイ・サンズ(左)。高層ホテルの屋上をまたぐスカイパークには巨大なプールが設けられている(右)(写真左:家入龍太、写真右:ARUP)

 スカイパークとアートサイエンス・ミュージアムは、ともに非対称で複雑な曲面で構成されるデザインが特徴だ。その建設には、BIMが存分に力を発揮し、日本企業も大きな役割を果たしている。