9月14日に政府のエネルギー・環境会議が発表した「革新的エネルギー・環境戦略」は2030年代に原発稼働ゼロを可能とするための様々な戦略が20ページにわたってまとめられている(ただし政府は閣議決定せず参考文書としての扱いとしてとどめた)。同戦略には玉虫色との批判もあるが、最新のITや再生可能エネルギー活用を駆使した省エネ型社会のビジョンを示した点は評価できるのではないだろうか。

9月14日に公表された「革新的エネルギー・環境戦略」(資料:エネルギー・環境会議)
9月14日に公表された「革新的エネルギー・環境戦略」(資料:エネルギー・環境会議)

 HEMS(住宅エネルギー管理システム)やBEMS(建物エネルギー管理システム)、スマートハウス、デマンドレスポンス、次世代自動車――9月14日に政府のエネルギー・環境会議が公表した「革新的エネルギー・環境戦略」には、当コラムでもしばしば取り上げている省エネ・創エネ・蓄エネに関する言葉が、あちこちに登場する。

 同戦略では、HEMSやBEMS、スマートハウスなどの最新技術を活用し、2030年までに19%の省エネと10%の節電、太陽光発電や風力発電により再生可能エネルギーによる発電を3000億kWhに増やすという具体的なビジョンを示した。閣議決定せず参考文書にとどまっているとはいえ、2010年の1100億kWhから再生可能エネルギーによる発電を約3倍に増やすことを掲げた意義は決して小さくはないだろう。

「グリーンエネルギー革命の実現」がカギに

 同戦略は(1)原発に依存しない社会の一日も早い実現、(2)グリーンエネルギー革命の実現、(3)エネルギーの安定供給、という三本柱からなる。

 原発の40年運転制限や再稼働、新設・増設に関する極めて政治色の濃い内容もあるが、脱原発を実現できるかどうかは、むしろ(2)グリーンエネルギー革命の実現によって、省エネ・創エネ・蓄エネの普及率をどれだけ拡大できるかにかかっているといえそうだ。