BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及に伴い、Revit ArchitectureやArchiCADなどのBIMソフトを扱える人材のニーズが急増している。就職難の沖縄でBIMの講習会を実施したところ、受講者全員が就職に成功したという例もある。


 BIM人材の市場は、従来のCADオペレーターほどにはまだ顕在化していない。求人側は限られたBIM人材を見つけなくてはならず、BIM人材側は少数のBIM導入企業の募集を探さなければならない状況だ。

 しかし、建設業界でBIMが普及しつつある今、BIM人材の需要はもっと高まっていくだろう。就職を希望するCADオペレーターやインテリアデザイナーなど既存の職種の人材は、ソフトやデザインだけでなく簡単な建築の知識とBIMソフトの操作方法をマスターすることで、希少価値ある人材へとステップアップし、就職を優位に運ぶこともできそうだ。

有効求人倍率全国ワーストワンの沖縄でBIMを

 沖縄県の有効求人倍率は、全国平均の半分程度で全国ワーストワンだ。例えば厚生労働省が発表した2012年4月の都道府県倍率のデータでは、最高の福井県、愛知県が1.18倍、全国平均は0.79倍だったのに対し、沖縄県は0.38倍となっている。

 沖縄県うるま市にBIMセンターを持つデジタルビジョン(本社:東京都目黒区)は、就職難の沖縄県で2011年10月から2012年3月にかけて、BIMオペレーターを育成するための講習会を行った。地元の建築士資格の保有者など10人の受講者が集まり、その全員が修了時には就職を決めている。

沖縄県うるま市で2011年10月~2012年3月まで開催したBIM講習会(写真:デジタルビジョン)
沖縄県うるま市で2011年10月~2012年3月まで開催したBIM講習会(写真:デジタルビジョン)

講習会の会場となったうるま市の沖縄IT津梁パーク(写真:デジタルビジョン)
講習会の会場となったうるま市の沖縄IT津梁パーク(写真:デジタルビジョン)

 デジタルビジョン代表取締役の吉田敬一郎さんは「内地(沖縄県外)の大企業でBIMソフトを使える人材へのニーズが高まっている。特に建物モデルの入力や、BIM用の3次元部品などのコンテンツ作りができる人材が不足している」と、講習会開催の動機を語る。