iPhoneなどのスマートフォンには、通信やカメラのほか、GPSや様々なセンサーが搭載されている。これらの先進機能を組み合わせた現場向けのアプリケーションが続々と登場している。現場でスピーディーに間取り図を作成するアプリや、拡張現実感(AR)を活用した維持管理アプリ、GPSと連動したCADアプリなどだ。今後は温度や音のセンサーを生かした、新しいアプリが登場しそうだ。
MagicPlan:部屋の角に向けてシャッターを切るだけで間取り図が
不動産を賃貸するときや、オフィスや部屋の模様替えをするとき、ほどほどの精度で、見栄えのよい間取り図があると便利だ。そこで最近、ネットで話題になっているiPhone用アプリがある。カナダのセンソピア社(Sensopia)が開発した「MagicPlan」がそれで、シャッターをバシバシと切っていくだけで、本格的な間取り図が作れるのだ。iPhone(4または4S)やiPad 2用に対応している。
使い方は簡単だ。iPhoneを構えて部屋の中央に立ち、そのままの位置でぐるりと1回転しながら部屋の隅や出っ張り、開口部の端などに画面上の照準マークを合わせて、バシバシと写真を撮るような感覚でシャッターを押していくだけだ。
するときれいな部屋の図が自動作成される。部屋の中に家具が置いてあっても、照準マークに付いたXYX方向の補助線で位置決めすれば大丈夫だ。
各部屋の図を結合して1軒分の間取り図にまとめたり、寸法や形を修正したりする機能も用意されている。作成した図面は、DXFやJPG、PDFなどのファイルとして出力し、他のソフトでも活用できる。
センソピア社のウェブサイトにあるQ&Aコーナーの説明によると、間取り図の長さの誤差は±3インチ(7.6cm)以内に収まるという。精度よく作図するためのコツは、(1)同じ場所に立ったまま回転し、部屋を一通り撮り終えるまでは歩いてはいけない、(2)iPhoneはずっと同じ姿勢で構えること、(3)一度、大きさが分かっている部屋で間取り図を作り、壁などの正確な寸法を入力する「キャリブレーション調整」をしておくこと、(4)部屋の角などに正確に照準を合わせること、としている。
同社によるとこのアプリは、「iPhoneの4つのセンサーを高度に活用した複雑な技術を利用」しているという。詳しい仕組みまでは公表していないが、iPhoneの位置や向きを加速度センサーやジャイロセンサーなどで検知しながら、部屋の角などの位置を割り出していることがうかがえる。
MagicPlaは非商業的利用の場合は無料で使えるが、図の中に透かしが入る。一方、商業的利用は有料の「サブスクリプション」(定期購読)が必要だ。この場合、透かしは入らない。