物流施設を専門とする不動産会社、GLプロパティーズは、埼玉県三郷市に建設する大規模物流倉庫の設計にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入し、設計・施工を担当する建設会社にBIMソフトの使用を義務づけた。その狙いは、高品質の物流倉庫を低コストで設計・施工するためだ。発注者側がBIMのメリットに着目し、実プロジェクトでの活用を始めた。


 日本と中国の主要都市で330以上の物流施設を開発、運営するアジア最大級の物流施設を専門とする不動産会社、グローバル・ロジステック・プロパティーズ社(GLP)。その日本法人がGLプロパティーズ(本社:東京都港区)だ。

見積要綱書にBIMソフトの種類まで記載

 GLプロパティーズは日本国内に69施設、延べ床面積約280万m2にも上る物流施設を運営している。同社は東京外かく環状線に隣接する3万8901m2の敷地に建設する地上5階建て、PC造の大規模物流倉庫「GLP三郷IIIプロジェクト(仮称)」を建設する。この施設の設計・施工について、同社は応札企業にBIMの使用を義務づけた。

 GLプロパティーズ建設技術部長の石嶋健司氏は「高品質で耐久性のある物流倉庫を、低コストで建設、運営するためにBIMは有効と考えた」とBIM導入の経緯を説明する。

 2011年7月15日に出された見積要綱書には「BIMによるプロジェクト推進仕様書」が含まれている。その中には使用するBIMソフトとして、意匠設計用では「Revit Architecture 2012」、構造設計では「Revit Structure 2012または同等品」、設備設計では「Revit MEP 2012または同等品」、BIMモデルの統合用として「Navisworks Manager 20112」がはっきりと記されているのだ。

BIMソフトで作成したGLP三郷IIIプロジェクトの外観CG(資料:プロパティ・リスク・ソリューション)
BIMソフトで作成したGLP三郷IIIプロジェクトの外観CG(資料:プロパティ・リスク・ソリューション)

GLプロパティーズの本社にあるGLP三郷IIIプロジェクトの模型(写真:家入龍太)
GLプロパティーズの本社にあるGLP三郷IIIプロジェクトの模型(写真:家入龍太)

 そして、プロジェクト関係者が作成したBIMデータの品質をチェックし、スムーズな協業促進の支援を行う「BIMマネージャー」としての役割を建物調査・診断会社のプロパティ・リスク・ソリューションが担うことも記されている。

 BIM採用の目的は、図面情報や建設にかかわる情報を関係者間で共有し、早期に課題を解決することで、設計や施工の生産性を向上させることだ。つまり、BIMの「フロントローディング」効果を期待したプロジェクトなのだ。