スマホで情報共有できるGIS

 GIS(地理情報システム)は幅広い用途に活用できる半面、建設業や工事現場での活用例はほとんどなかった。その理由は、大きなモニターを備えたパソコンで利用するというスタイルにあったのではないだろうか。

 日立ソリューションズはアンドロイド対応のスマートフォンからGISにアクセスし、現場からデータの検索や参照、更新などが行える「GeoMation for Android」を2011年11月1日に発売した。同社が以前から発売していた「GeoMation」というGISのオプションソフトだ。

外出先から「GeoMationにアクセスできる「GeoMation for Android」のイメージ図(資料:日立ソリューションズ)
外出先から「GeoMationにアクセスできる「GeoMation for Android」のイメージ図(資料:日立ソリューションズ)

 スマートフォンのタッチやタップ、フリックなどの操作によって、地図検索や図形描画、属性表示など操作を直感的に扱うことができる。これはパソコンにはない使いやすさだ。

 膨大なデータ量を持つGISは、データ通信量が多くなりがちだ。そこで背景地図データを本体のSDカードに格納することでデータ通信量を減らし、軽快に動作するようにした。

 また、山間部などで通信環境が悪い場所でもデータ参照や編集を可能にする「オフライン機能」や、事務所から社外のスマートフォンにアクセスし、データを取得する機能なども、今後、提供される予定だ。

 用途としては、屋外にある公共設備の工事やメンテナンス業務などを想定している。現場から修繕結果の写真を添付した作業報告書や工程表などを登録できるので、屋外での作業が終わってから事務所に戻り、データを入力するという手間がなくなる。

屋外設備のメンテナンス業務での活用イメージ(資料:日立ソリューションズ)
屋外設備のメンテナンス業務での活用イメージ(資料:日立ソリューションズ)

メーンメニュー(資料:日立ソリューションズ)
メーンメニュー(資料:日立ソリューションズ)

 入力したデータはほかの作業員や管理者がスマートフォンや携帯電話、社内のパソコンなどで確認できる。設備管理データを部署間で共有することで、設備の予防保全や修繕についての判断を的確に行える。

 また、アンドロイド端末に搭載されたGPSの位置情報を使うことで、今、ほかの点検チームがリアルタイムに分かるという機能もある。チーム間の連携や協力も活発に行えそうだ。

 同社では今後、電力や通信、防災分野などGIS活用が進んでいる分野などへの販売を推進する予定だ。建設業でも維持管理や災害復旧などの業務に活用できそうだ。