スマートフォンやiPadなどのタブレット端末に対応した現場業務向けシステムが続々と登場している。これまで紙に頼ってきた現場最前線は、スマホや携帯端末で急速にIT化が進みそうだ。

スマホから現場の写真を地図上に自動登録

 情報・通信サービス会社の応用技術は、クラウドコンピューティングによる「点検業務管理システム」を開発。2011年10月に建設会社や自治体向けに発売した。

 現場での入力作業に、Android(アンドロイド)に対応したスマートフォンやタブレット端末を使うのが特徴だ。点検・施工管理のデータや現地で撮影した写真を現場からクラウド上のサーバーに送ると、その情報をウェブサイトでリアルタイムに共有できる。

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末と地図を利用した「点検業務管理システム」の概念図(写真:応用技術)
スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末と地図を利用した「点検業務管理システム」の概念図(写真:応用技術)

 スマートフォンのGPS機能を使い、現在の位置情報を自動的に取得。その場で撮影したデジタル写真や点検結果などにデータに、位置情報が自動的に付加される。そのデータを現場から携帯電話回線(3G回線)でサーバーに送ると、写真などが地図上に自動登録される仕組みだ。

 3G回線がつながらない地域や山間部では、図面や台帳などの資料をSDカードに事前に取り込んでおけばGPS情報のみを使って現地で見られる。スマートフォンならではの強みとして、音声を文字に変換して入力する機能もあるため、現場での入力作業がかなり省力化できそうだ。

 サーバーに登録された情報はExcel形式のファイルでダウンロードできるので、すぐに報告書の資料などとして使える。点検データが社内でリアルタイムに共有できるため、まだ、現地に人がいるときに、事務所からも登録情報をチェックできるので、写真に不具合があった場合でも、すぐに連絡して撮り直してもらうことができる。

「点検業務管理システム」を使ったワークフローの例(写真:応用技術)
「点検業務管理システム」を使ったワークフローの例(写真:応用技術)

 応用技術は、このシステムの用途として工事前に行う現況調査や申請用調査、工事現場での施工管理や施工指示、維持管理業務、検針などを想定している。価格は初期費用として200万~500万円程度になるという。