建物の躯体工事で重要なのが配筋検査だ。竹中工務店東京本店では、検査野帳の作成と検査記録や写真の整理を半自動化するシステム「配筋CLIP」を開発した。このシステムにより、検査関連のコストを6割削減できるという。検査時の装備も従来より軽装備で済むようになった。

  社内で広く使われているCADソフト「AutoCAD」、表計算ソフトの「Excel」、そしてプレゼンテーションソフトの「PowerPoint」を連携させ、図面中に書かれた「属性情報」を有効活用したことが効率化のカギとなった。

AutoCAD、ビジネスソフト、デジカメが連携

 鉄筋工事の品質は、建物の強度や耐久性などに直結する。そのため最近はすべての配筋を検査する全数検査と記録写真の撮影・保存が求められている。

 配筋作業が終わり、コンクリート打設前までの限られた時間で、図面通りの太さ、本数の鉄筋が所定の場所に配置されているかどうかを確認し、写真で撮影。その記録を図面と参照できるようにまとめなくてはならない。この業務は、手間ひまがかかるうえ、スピードと正確さも求められる。

 竹中工務店東京本店は、鉄筋工事の品質管理業務のために使う検査野帳の作成や記録写真の撮影・整理を合理化するために「配筋CLIP」というシステムを開発した。

以前の配筋検査時の装備(左)と「配筋CLIP」使用時の装備(右)。WMF形式の鮮明な図面を使った検査野帳にしたため、図面などの資料が必要なくなり、装備も軽くなった(写真・資料:竹中工務店)

配筋CLIPで作成した検査野帳(左)と写真管理帳票(右)(写真・資料:竹中工務店)

 合理化のカギとなったのは、日ごろの業務で使い慣れたCADソフト(AutoCAD)や表計算ソフト(Excel)、プレゼンテーションソフト(PowerPoint)、そして、工事現場用のデジタルカメラのデータ連携だ。

 これらの使い慣れたソフト、ハードを使ってCAD図面上に書かれた部材符号や通り芯符号などの「属性情報」をパソコンで自動処理し、作業の大幅な効率化を実現した。