デジカメの液晶画面に断面リストを表示
属性情報のデータは、デジタルカメラとも連携している。リコーの工事現場用デジタルカメラ「G700」に、分解した断面リストのデータを入力し、デジカメの液晶画面に図面を表示できるようになっているのだ。
部材の符号をデジカメの画面から選ぶと、その部材に対応した断面リストの図面や部材情報が表示されるようになっている。この情報を表示した状態で現地で配筋状況の写真を撮ると、その写真ファイルのExif情報に部材符号や通り芯などの配置情報も書き込まれる。後の写真整理の時に利用される仕組みだ。
「デジカメメーカーにお願いして、写真に様々な情報を書き込めるカメラメモなどの機能を拡張してもらった」と、システムの開発を担当した竹中工務店FM本部企画管理グループ(当時は東京本店技術部)課長代理の高瀬優氏は説明する。
写真を撮った瞬間に、デジタル写真データには部材を識別するための情報が書き込まれる。写真データを市販の写真管理ツールで読み込むと、その情報に対応する断面リストと組み合わせて、記録写真の帳票が作られる。黒板の文字を頼りに、手作業で写真と図面を合わせていく必要はない。
検査野帳には断面リストの代わりに「QRコード」(2次元バーコード)をレイアウトしたタイプもある。検査する場所で写真を撮影する直前に、デジカメでQRコードを読み取ると、写真に部材符号などがひも付けされ、Exif情報に記録される仕組みだ。
そのため、デジカメで部材符号を探し出す手間は、QRコードの読み取りだけで済むようになった。撮影した写真に部材符号を付加し、その後、写真帳として自動的に作成する手順は断面リスト付きの検査野帳を使った場合と同様だ。