被害状況の情報を共有し、復興に生かせ

 今回、紹介したMMSの点群データや写真による道路周辺の被害記録、人工衛星からの映像によるがれきや浸水地域の分布データは、デジタル化されているため、ネットワークを通じてすぐに情報共有できるのが特徴だ。コンピューターによってがれきの数量計算を行ったり、復旧に必要な土量計算を行ったりするための基礎資料として役に立つだろう。

 点群データには周辺の電柱や電線、障害物などの状態も正確に記録されている。点群データを3次元CADに読み込み、クレーンや油圧ショベル、仮設住宅の3次元モデルとともに検討すると、重機の進入路の検討や復旧作業の手順まで計画することも可能だろう。

 東日本大震災では広大な被害が発生した。被災地の本格的な復興には、まちや建物の立地、津波の被害を受けた場所や高台の造成、そしてライフラインの整備などを、広域的に検討する必要がある。被害状況を高精度にデジタル化することにより、多数の自治体、建設コンサルタント、建設会社などが情報共有することは、より安全なまちのより早い復興につながるだろう。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。 家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターfacebookでも発言している。