がれきの分布や浸水範囲を宇宙から観測
巨大津波の被害にあった地域の復旧・復興に立ちはだかるのは、膨大ながれきの処理だ。がれきの分布状況や量を把握することが、がれき除去作業を計画的、効率的に行うために不可欠となる。
そこで国際航業は50cmの物体を識別できる超高分解能衛星「GeoEye-1」で撮影した被災地の画像を処理し、がれきの分布範囲を抽出し、公開した。
地上の物体が発する光の波長を赤外線から可視光、紫外線の範囲で分析し、木材が発する波長の部分を抜き出し、色分けしたものだ。
今回の地震では、沿岸部が地盤沈下し、津波で浸水した地域の水がなかなか引かないという現象も見られた。
パスコは3月13日、24日、4月4日に合成開口レーダー衛星(TerraSAR-X)で撮影した画像から、津波の水が残る地域の経時変化を推定することに成功した。衛星からのマイクロ波が地表に当たって反射するとき、平滑な面は反射強度が弱く、暗く写るという性質を用いたものだ。
下図のピンクの部分が3月13日、オレンジの部分が同24日、赤の部分が4月4日の推定浸水範囲だ。
平滑面を自動抽出する方法で色分けしているため、水面にがれきが浮遊していたり、復旧作業で滑走路や道路などが整地されたりすると、誤差も出る。同社では震災前後の人工衛星画像を使って青森、岩手、宮城、福島、茨城の各県における推定浸水範囲図を作成し、ウェブサイトで公開している。