今回の建設IT注目情報 ~リック「RIK LANDSCAPE PACK for ArchiCAD」~

 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で設計した建物を施主にプレゼンテーションするとき、建物の周囲に樹木や芝生、遊歩道などの外構のイメージがあると、建物の魅力がさらにアップします。

 リックは、BIMで設計した建物の周りに、リアルな樹木や歩道、駐輪場などを配置する素材集「RIK LANDSCAPE PACK for ArchiCAD」を3月22日に発売します。

 グラフィソフトジャパンのBIM対応意匠設計ソフト「ArchiCAD14」および「ArchiCAD14 Solo」の専用アドオンソフトとして使うもので、日本の景観にマッチした植栽や駐輪場、手すり、マンホールなど合計約4000点の部品データを収録しています。

ArchiCADのアドオンソフトとして動作する「RIK LANDSCAPE PACK for ArchiCAD」の画面(上段)と作成した外構部の3次元モデル(下段)(資料:リック)

 リックは以前から住宅用の3次元外構設計ソフト「RIK CAD21」を開発、販売していました。そのノウハウを生かしてこのソフトが誕生しました。RIK CAD21はもともと、ArchiCADの「エンジン」と呼ばれる基本ソフト部分を使って開発したこともあり、今回はArchiCAD用のアドオンソフトを開発しました。

 同社では当初、自社の製品がBIMに関係するという意識はありませんでした。その考えが変わったのは、
 
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
仮想BIMコンペに参加
 
したことがきっかけだったのです。

 BIM用データ交換基準を開発する国際組織、IAI日本が2009年2月に初めて開催したBIM仮想コンペ「Build Live Tokyo 2009」に、リックは前田建設工業が中心となって結成したチーム「スカンクワークス」のチームメンバーとして参加し、建物周囲の外構設計を担当しました。

 以来、同年9月の2回目2010年10月の3回目にも同チームなどのメンバーとして参加しています。

 この活動を通じて、ArchiCADユーザーから外構・ランドスケープ入力機能と植栽や景観添景の要望が多く寄せられたことが、ソフト発売のきっかけになったそうです。仮想BIMコンペが、リアルな製品の発売に結び付いたことは、興味深いことですね。

仮想コンペ「Build Live Tokyo」でリックはチームメンバーとして外構部の設計を担当した(資料:リック)

3月9日に開催された記者発表会の会場風景(左)。左からグラフィソフトジャパン代表取締役社長、コバーチ・ベンツェさん、リック代表取締役社長の爲汲英樹さん、グラフィソフト本社社長のビクター・バルコニーさん(写真:家入龍太)

 記者発表会場には3Dテレビが設置され、このソフトを使って作った外構部をウオークスルーするデモンストレーションが行われました。立体視用のメガネをかけて見ると、奥行き感がリアルに感じられ、樹木の横を通り過ぎるときは葉っぱが顔に当たりそうな錯覚さえ感じました。

3Dテレビよる立体視のデモも行った。他社の記者さんにモデルをお願いしました(写真:家入龍太)

 この製品のポイントは、樹木などの不規則で複雑な形状のものを3次元モデルで表現したことです。今後、さらなる進化が予定されています。