イエイリはここに注目した! ~ソフトボール選手の動きを見事に再現~

 その作品は、青木あすなろ建設の「グラウンド施設提案VRシミュレーション」です。ある学校の体育施設の検討に使用したものでした。グラウンドや駐車場などをバーチャルリアリティーで表現し、施設管理者はもちろん、そこでプレーする選手にも見てもらって問題点がないかどうかを確認したそうです。

 そこに登場したのは、ナ、ナ、ナ、ナント、

 
ウインドミル投法で投球

 

するソフトボールのピッチャーでした。

 実際のピッチャーの動きをモーションキャプチャーという方法でデータ化し、バーチャルリアリティーの人物に移植して作ったそうです。そのリアルさには驚きました。この作品は審査員特別賞(芸術賞)を受賞しました。

ウインドミル投法によるピッチャーの投球姿勢も忠実に再現(バーチャルリアリティー画像:青木あすなろ建設)

上段左:ソフトボールの選手がリアルに動く青木あすなろ建設の「グラウンド施設提案VRシミュレーション」、審査員特別賞(芸術賞)(画像:青木あすなろ建設)。上段右:市民参加型の街のモデル化を行った神戸市都市計画総局の「デザイン都市・神戸の景観形成に向けた合意形成のためのVR活用」、審査員特別賞(デザイン賞)(画像:神戸市都市計画総局)。下段左:トンネルを抜けたら雪国だったという体験もできる東日本高速道路の「ハイウェイドライビングシミュレータシステム」、優秀賞(画像:東日本高速道路)。下段右:コンテスト終了後のデモンストレーションで紹介されたニューヨークの街並みをバーチャルリアリティー化した例(画像:フォーラムエイト)

 このコンテストで使われたUC-win/Roadは、もともと道路の計画用に開発されましたが、今では、河川の計画や自然現象、災害までを表現することにも使われています。

 フォーラムエイトは最近、このソフトに「クラウド機能」を追加しました。特別なソフトがなくても、ウェブブラウザーがあればどこからでも作品を見ることができます。

 そこで来年、第10回を迎えるコンテストの審査会は、ネット上で開催することになりました。世界中の人々が見られるため、話題を呼びそうです。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。

家入龍太の公式ブログは、http://www.ieiri-labo.jp/。ツイッターは、http://twitter.com/ieiri_lab