今回の建設IT注目情報 ~フォーラムエイト「第9回VR・シミュレーションコンテスト」~

 フォーラムエイトのバーチャルリアリティー(仮想現実)ソフト「UC-win/Road」は、道路や街並みを3次元でモデル化し、その中で人やクルマなどの動きを再現します。このソフトの活用技術を競う「VR・シミュレーションコンテスト」の審査発表会を、同社が11月19日、東京・目黒で開催しました。

 ノミネートされた11作品は日本のほか、韓国やインドネシアからも応募がありました。それぞれの作者が十数分ずつプレゼンテーションした後、審査員4人と一般来場者の投票により各賞が決まりました。

 最優秀の「グランプリ賞」を受賞したのは、関西大学総合情報学部の「VRによる阪神高速道路の地下化と都市の魅力向上に向けた計画提案」という作品でした。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、

 
高架橋のない大阪

 

の街並みを再現した作品なのです。

 福島、中之島、南森町といった大阪駅に近い3つのエリアで、阪神高速道路の高架橋を地下化したときの街並みをバーチャルリアリティーで再現しました。高架橋がなくなった大阪の街には、名古屋や札幌のような公園付きの大通りが出現しました。その様子をご覧ください。

大阪・福島にある「ゲートタワービル」を貫く高架橋(上段左)とバーチャルリアリティーによるモデル(上段右)。高架橋を地下化すると公園付きの大通りが出現した(下段)(写真:家入龍太、バーチャルリアリティー画像:関西大学)

 この作品で活用した「点群」と呼ばれるデータは、3次元レーザースキャナーをクルマに搭載して道路を走行することで計測しました。現状の道路を3次元で表現し、路面上の走行シミュレーションに活用しました。そのため、長い区間の道路をモデル化する労力が非常に少なくて済みました。

3次元レーザースキャナーで計測した「点群」で表現した路面(バーチャルリアリティー画像:関西大学)

第9回VR・シミュレーションコンテストの審査発表会場(左)と表彰式でフォーラムエイト代表取締役社長の伊藤裕二さん(右写真左側)から賞状や副賞を授与される関西大学の田中成典教授(右写真右側)(写真:家入龍太)

 今回の作品では地下化した道路については含まれていませんでした。ぜひ、地下の道路計画もバーチャルリアリティーで見てみたいですね。

 このほかにも、バーチャルリアリティーをうまく活用した作品が多くありました。その中には、「ここまでやるか」と思わせる施設計画の作品もあったのです。