今回の建設IT注目情報 ~パナソニック電工「環境計画支援VR事業の強化」~

 パナソニック電工は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)という言葉が知られるずっと前の2001年から、まちづくり計画に対応したVR(バーチャルリアリティー=仮想空間)システムを開発し、自治体や民間のプロジェクトにおける合意形成を支援してきました。

 その数は、2010年3月までに500件以上にもなりました。最近は小型携帯端末などハードの開発も進んだため、同社では各種プロジェクトの計画や設計を支援する「環境計画支援VR事業」を強化することになりました。

 新しい合意形成ツールには、小型情報端末(スマートフォン)のほか、
 
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
3D対応テレビ
 
も活用するのです。

3D対応テレビ(左)や小型携帯端末(右)を使った環境計画支援VR事業のイメージ(資料:パナソニック電工)

 同社がVR事業を始めた約10年前から、ソフトやハードは飛躍的に進歩を遂げました。従来は商店街などのまちづくりが主な対象でしたが、進歩によって複合ビルや病院など、細部の検討が必要となる建築プロジェクトの支援も行えるようになりました。

 例えば、病院の建設プロジェクトでは院長や医師、看護師のほか、病院周辺の住民など、様々な人々の合意形成が必要になります。

 その検討内容には、ベッドとストレッチャーがすれ違うことを考慮した通路幅や食事を運搬するカートの動線などに関することが含まれます。さらにロビーや病室の内装、四季の変化を考慮した病院周辺の景観、そして駐車場の広さといったことも検討が必要です。

 図面やパースを使った検討では、関係者が十分に理解できず、建物が完成してから問題点に気づくことも普通でした。しかし、VRは建物が完成した後の世界を「動き」で再現できますので、病院関係者が事前に意見を言いやすく、満足度の高い建物を造りやすくなります。

VRによる病院内部の計画例(資料:パナソニック電工)

環境計画支援VR事業のウェブサイト(資料:パナソニック電工)

 BIMの普及で、建物を3Dモデルで施主に見せながら設計を進めていく手法は徐々に広がりつつあります。パナソニック電工は、他社ではなかなかまねのできない強力な合意形成ツールも持っているのです。