今回の建設IT注目情報 ~JIPテクノサイエンス「Braz」~

 建築分野ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)など、3次元モデルを使った設計手法が普及しつつあります。一方、土木の鋼橋分野ではWindows95が登場する前から、ホストコンピューターを使った3次元の自動設計システムが使われていました。

 ただし、すべてが3次元化しているわけではありません。主桁や床版など橋桁の本体は“3次元モデル”として設計されるものの、排水管や点検用通路などの付属物は、別途、2次元図面上で設計されていました。

 そのため、現場での施工が始まってから
 
橋桁と付属物の干渉
 
が発見され、急きょ手直しが必要になることも多かったのです。橋桁の主構造部分の製作では、自動原寸や3次元設計の進化により不具合は減ってきましたが、付属物の不具合は減っていないというのが現状です。

 そこでJIPテクノサイエンスでは、橋桁本体と付属物の干渉を自動的にチェックする「Braz(ブラッツ)」というシステムを開発しました。

従来の図面だと橋桁本体と付属物の干渉を発見しにくい(左)が、「Braz」は自動的に干渉部分を発見し、その個所を干渉量とともに3次元表示する(資料:JIPテクノサイエンス)

 鋼橋本体の設計データと付属物のデータを一体化し、部材同士が干渉したり、接近しすぎたりしている部分を探し出すものです。干渉しているときは「赤」、接近しすぎているときは「黄」のマークでその場所をグラフィカルに3次元表示し、mm単位で干渉や接近の度合いが分かります。

 干渉個所などは部材の種類ごとにツリー状に整理され、干渉量とともに一覧表としても表示されます。一覧表から3次元画面に飛ぶこともできます。

橋桁架設時のイメージ。干渉部分は赤で表示される(資料:JIPテクノサイエンス)

干渉部分などは部材ごとにツリー状で整理され、干渉量とともに表示。そこから3次元パースに飛ぶことができる(資料:JIPテクノサイエンス)

Brazの開発にかかわったメンバー。JIPテクノサイエンス大阪テクノセンタで(写真:家入龍太)

 付属物の情報の入力には、3次元CADのスキルは要りません。表計算ソフトのExcelで入力できるのです。いったい、どんな方法で付属物の3次元モデルを入力するのでしょうか。